(3)お城めぐりがもっと楽しくなる! 初心者が知っておくべきお城の基礎知識

(3)お城めぐりがもっと楽しくなる! 初心者が知っておくべきお城の基礎知識

●天守の種類

最後はお城のシンボル・天守について。最初に天守をつくったのは、安土城を築いた織田信長といわれています。住居として使ったのも、信長くらいといわれ、多くの城の中身はとってもシンプル。
もとは物見櫓や司令塔のような軍事施設が原型でしたが、安土桃山時代以降から大名の力を誇示するための、意匠や見た目にこだわったビジュアル重視の建物になっていきました。 ちなみに「天守閣」という呼び方は明治時代前後に使われた俗称で、建築用語としては「天守」が正式名称になります。
天守の形は大きくは「望楼型」「層塔型」の2つがあり、そこから「連立式」「複合連結式」などの様式に分かれます。

望楼型天守

初期の天守に見られる形で、1階もしくは2階建ての入母屋造の建物に望楼(物見櫓)がのっていて頑丈なのが特徴。上層部の望楼は、下層階や石垣の接地面を考えずに自由に建てられるので、正方形や長方形、多角形の天守があったりします。

【現存12天守で望楼型の天守】
丸岡城(福井県)、犬山城(愛知県)、彦根城(彦根城)、姫路城(兵庫県)、松江城(島根県)、高知城(高知県)

層塔型天守

一層目から同じ形の建物をサイズを小さくしながら積み上げていく形。スッキリした見た目で、関ヶ原の戦いの後に起きた築城ラッシュの際、工期短縮、低コストでできる天守として、築城名人の藤堂高虎が考案した。

【現存12天守で層塔型の天守】
弘前城(青森県)、松本城(長野県)、備中松山城(岡山県)、丸亀城(香川県)、伊予松山城(愛媛県)、宇和島城(愛媛県)

独立式

天守のみが単独で建つ形式。地階や1階から直接天守に出入りできるのが特徴で、層塔型天守に多い。

複合式

附櫓(つけやぐら)、小天守などの附属の建物を、天守に直接くっつけている形。敵を攻撃できる建物を増やすことで、天守に直接入れないようにしている。

連結式

附櫓、小天守などの附属の建物を、渡櫓、橋台などを通して天守に間接的にくっつけている形。複合式と同じで天守に直接入れない。

連立式

天守と2つ以上の附属の建物を、渡櫓などで環状に繋げた
形。色々な仕掛けを設けられる、複雑かつ最も厳重な様式で、内側に中庭のような空間もできるので、敵を四方から一網打尽にできる。

●天守を彩る破風

天守の装飾として一番大事なのは屋根といわれます。屋根は各階層についており、四方の側面のうち、幅が広い方を「平」、狭い方を「妻」と呼びます。この妻側にできる三角形の部分は「破風(はふ)」。
破風にはいくつか種類があり、お城の構造上、必ずできるのは「入母屋破風(いりもやはふ)」と「切妻破風(きりつまはふ)」の2つ。装飾のための破風に「千鳥破風」と「唐破風」があります。天守にとって、この破風がすべての印象を決めると言っても過言ではありません。

①入母屋破風(いりもやはふ)
入母屋屋根とは、切妻造の四方に庇がついた形の屋根。優美なシルエットで、古くから社寺建築に用いられている。多くの城がこの屋根を採用しているため、入母屋破風は構造上必ずできる。

②切妻破風(きりつまはふ)
天守と2つ以上の附属の建物を、渡櫓などで環状に繋げた
形。色々な仕掛けを設けられる、複雑かつ最も厳重な様式で、内側に中庭のような空間もできるので、敵を四方から一網打尽にできる。

③千鳥破風(ちどりはふ)
屋根の上に装飾や採光のためにつけられる三角形の出窓。入母屋破風に形が似ていますが、構造上、必ずできる入母屋破風に対して、千鳥破風は天守のどんな位置にも付けることが可能。名古屋城などの大きな天守には2つ千鳥破風がついている屋根もある(比翼千鳥破風)。

④唐破風(からはふ)
一番装飾性が高くて派手な破風。中央部が凸形、両端部が凹形の弓なり状の形になっているのが特徴。「唐」とついているが日本独自の建築技法。屋根の軒先についた「軒唐破風」、出窓のようについた「向唐破風」の2種類がある。

いかがでしょうか。ほんの一部ですが、お城の基礎知識をご紹介してみました。初心者向けの知識ばかりですが、もし興味を持ったら、ぜひとも自分の足や目で、お城めぐりを楽しんでみてください。

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