(2)お城めぐりがもっと楽しくなる! 初心者が知っておくべきお城の基礎知識

(2)お城めぐりがもっと楽しくなる! 初心者が知っておくべきお城の基礎知識

●堀の種類

曲輪を構成する堀や土塁、石垣などは基本的なお城の防御機能です。これらの技術は戦国時代に進化し、戦がなくなっても「万が一」の備えや、お城の権威を象徴するためにつくられました。

①箱堀(はこぼり)
底が平らで、断面が逆台形になった堀。幅の広い堀や水堀に見られ、大規模な近世城郭の堀はほぼこの形。幅の狭い箱堀もありますが、通路として使われたようです。

②毛抜堀(けぬきぼり)
底が丸いU形になっている堀で、地面が平らじゃないので敵が歩きにくいのがポイントです。毛抜き道具と同じような形に見えることから名付けられました。

③薬研堀(やげんぼり)
こちらは底がV形。弥生時代から見られる由緒ある堀で、掘る土の量が少なく、一番簡単に掘れます。薬の材料をV字の溝で潰して粉末状にする「薬研」という道具に似ていることからこの名がつきました。

④片薬研(かたやげんぼり)
底がレ形になっています。片側がほぼ直角になるので、薬研堀より登りにくいですが、崩れやすいのが難点。

山中城の障子堀と畝堀

山中城の障子堀と畝堀

堀の底に仕切りをつくり、移動をしにくくした畝堀、障子堀などの特殊な堀もあります。「ワッフルみたいな障子堀」で有名なのが、静岡県三島市にある山中城です。

●土塁の役割

土塁は土を高く持って敵の侵入を防ぐ防御設備。縄文時代から見られたといいます。ほとんどの土塁は、堀を掘った土を再利用してつくられました。凸凹の関係です。土を城外へ捨てるのも一苦労だったので、無駄がなくていいですね。

●石垣

石を組み上げてつくられる石垣は石、日本だけでなく世界のさまざまな地域で古くから見られる構造物。日本で本格的に築かれるようになったのは、織田信長の安土城の頃からといわれます。それまでの城の縄張は、ほぼ土塁や堀だけで構成され、石垣はほとんど見られませんでした。

石垣に用いられる石は、自然のものをそのまま使う場合と、削ったりして加工する場合があります。石垣の積み方は、大きく分けて2つ。形も大きさもバラバラの石を積み上げる「乱積(らんづみ)」と、高さがある程度同じの石を横のラインに合わせて積んでいく「布積(ぬのづみ)」です。さらに、石の加工度合いによって、3つに分類されます。

野面積み(のづらずみ)

自然の石を加工せずに、そのまま積み上げる最も古いタイプの積み方。凸凹してワイルドな見た目だが、水はけが良く耐久性がある。ロッククライミングのように敵が登りやすいのが難点。

打込接ぎ(うちこみはぎ)

石を加工して表面を平らにしてから積み上げる手法。表面の凸凹や隙間が少なくなり、かなり登りにくい。高さも出せる。野面積みより加工に時間がかかるのがマイナスポイント。

切込接ぎ(きりこみはぎ)

石を徹底的に四角く、表面を平らに、なるべく同じ大きさに加工して積み上げる手法。非常に強度が強く、かなりの高さ石垣を築くことができる。見た目も美しい。石同士が密着しているので水はけが悪いのが難点。

こうした防御機能の発展により、城はより防御力を高め、平地に建てても脅威に晒されることが少なくなりました。ほかにも馬出し、門、桝形など、もっと高度で複雑は機能がたくさんあるのですが、それはまたの機会に。最後は天守の種類で締めくくります。

報告する

関連記事一覧