(1)“戦国最強”といわれた難攻不落の城・小田原城

(1)“戦国最強”といわれた難攻不落の城・小田原城

復興を遂げた小田原市のシンボル

天下の険・箱根の山々に囲まれた、自然と都市機能がそろう「オールインワンなまち」神奈川県小田原市。この街のシンボルである小田原城は、戦国時代より関東一円を支配していた戦国大名・北条氏が5代にわたって拠点としたお城です。

小田原城は天正18(1590)年に豊臣秀吉の小田原征伐によって落城し、大久保氏や稲葉氏が城主となった後、明治3(1870)年に廃城。多くの建物が解体され、大正12(1923)年の関東大震災でほぼ全壊しました。

現在の小田原城は、江戸時代の近世城郭をもとに復元したもの。昭和初期から復興が開始され、2015年に平成の大改修を終えました。現在の小田原城を、まずはぐるっとめぐってみましょう。

関東最大の勢力を誇る北条氏の拠点だった小田原市

関東最大の勢力を誇る北条氏の拠点だった小田原市

現在の小田原城を散策してみる

JR小田原駅東口から南へ向かって徒歩10分。日本さくら名所100選に選ばれている小田原城址公園内に小田原城はあります。入口は5ヵ所あり、北入口から入るのが駅から一番近いルートですが、お城の威容を楽しむなら正面入口から入る正規登城ルートへ。桜並木の美しいお堀橋通り沿いから馬出門土橋を渡り、馬出門、銅門、常盤木門の3つの門をくぐると、天守を望む本丸広場が現れます。お城を巡るときは、門や堀、櫓、城壁なども重要ポイント。侵入する敵を一網打尽にしてしまうさまざまな仕掛けを見ることができます。

約320本のソメイヨシノが咲き誇る小田原城址公園

約320本のソメイヨシノが咲き誇る小田原城址公園

正保絵図で見る3つの門の位置

1644(正保元)~1654(承応3)年頃に描かれた「相模国小田原城絵図」(国立公文書館)を元に作図

正保元(1644)~承応3(1654)年頃に描かれた「相模国小田原城絵図」(国立公文書館)を元に作図

【馬出門】(2009年復元)

城の大手筋(正面の大通り)に位置し、二の丸を守る重要な門です。馬出門とその左前にある内冠木門、2つの門を石垣と土塀で繋いだ枡形のエリア全体をまとめて「馬出門」と呼びます。中世以降の城郭ではこうした狭い枡形、あるいは虎口を最前の門や後方の門に設け、大勢の敵が簡単に直進できないようにしていました。

高麗門形式の馬出門(提供:小田原市)

高麗門形式の馬出門(提供:小田原市)

【銅門】(1997年復元)

馬出門から馬出曲輪を抜け、住吉橋を渡ったところにある小田原城のニノ門です。二の丸の表門にあたり、馬出門と同じく敵を足止めする「枡形門」であると同時に、石垣の間を渡す形で櫓を設けた「渡櫓門」という形式の門になります。2階建ての櫓の上から周囲を見張ったり、鉄砲や矢を射かけて敵を攻撃しました。江戸時代前期に築かれたと考えられており、現存する資料をもとにかなり忠実に復元されています。名前の由来となっている扉に施された銅板の美しい飾り金具は必見!
銅門をくぐった先には、かつてこの門に用いられていた礎石や土塀模型などが置かれた銅門広場、小田原の観光スポットや史跡をガイドしてくれる二の丸観光案内所、小田原市指定の天然記念物である巨木・イヌマキなどのスポットもあるので立ち寄ってみましょう。

門の上に櫓をのせた銅門。櫓の内部は毎週土・日曜・祝日に特別公開されています。入場無料(提供:小田原市)

門の上に櫓をのせた銅門。櫓の内部は毎週土・日曜・祝日に特別公開されています。入場無料(提供:小田原市)

【常盤木門】(昭和46〈1971〉年復元)

常盤木門は小田原城の門の中で最も大きく堅固に造られた門です。江戸時代初期に建造され、明治時代の小田原城廃城まで姿をとどめていたといわれています。かつてはこの常盤木門(正門)と北側にあった鉄門(裏門)、2つの城門が本丸を守っていました。形式は「渡櫓門」と「多聞櫓(多門櫓)」から成る桝形門で、多聞櫓の「多聞」とは、長屋状の建物のこと。戦国時代の武将・松永久秀が築いた多聞城に存在した長屋形状の櫓が始まりとされています。常盤木門の多聞櫓は武器の収蔵に使われていました。
1階には、甲冑や陣羽織、忍者衣装、打掛などが着れる「甲冑着付け体験」(大人〈中学生以上〉500円/小人300円)のコーナー、2階には刀剣や甲冑を展示している「常盤木門SUMURAI館」(大人200円/小中学生60円※天守閣や小田原城NINJA館との共通券あり)があります。

門のかたわらに立つ巨松にちなんでその名がつけられたと伝わる常盤木門(提供:小田原市)

門のかたわらに立つ巨松にちなんでその名がつけられたと伝わる常盤木門(提供:小田原市)

【小田原城天守】(昭和35〈1960〉年復元)

小田原城の天守は、市制20周年の記念事業として外観復元された復興天守。元禄の大地震によってお城が倒壊した後、宝永3(1706) 年に再建された天守の引き図(設計図)や模型を参考に造られました。2015年に耐震改修工事が行われ、翌年リニューアルオープンしています。
天守櫓に付櫓・渡櫓がついた複合式天守で、見た目は3重4階建てですが、内部は5階建て。1〜2階は小田原城や北条氏の歴史を紹介する展示室、3〜4階は時期によって変わる企画展示室になっています。最上階の5階には、江戸時代の天守にまつられていたとされる“摩利支天像”の安置空間が再現されているほか、売店や展望デッキがあり、相模湾や小田原市街を見渡すことができます。1階に日本100名城のスタンプ設置場所があるので、忘れずに!

小田原城の天守は、日本第7位の高さ(提供:小田原市)

小田原城の天守は、日本第7位の高さ(提供:小田原市)

天守復興60周年のイベントを開催中!

2020年は、天守の復興から60年となる節目の年。現在、小田原市では小田原城と石垣山一夜城の2会場で「一夜城×小田原城 令和に蘇る小田原合戦 〜 一夜城イルミネーション大茶会と小田原城北条市 〜」、小田原城天守で『小田原城天守閣復興60周年記念特別展「復興 小田原城天守閣-昭和から平成・令和へ‐」』などの記念イベントを開催中です。

【イベント情報】
記念特別展「復興小田原城天守閣ー昭和から平成・令和へー」
会期:〜2021年2月28日(日)まで
URL:https://odawaracastle.com/event/modern-odawara-castle-ikusa-copy-copy.html
※天守と同じ1960(昭和35)年生まれの人は入館料無料。(証明できるものを持参)

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